sadaijin_nanigashiの日記

虚無からの投壜通信

日々のあれやこれやをいろいろと。

小学館には校閲がいないのか

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やー、記事自体は女性蔑視むき出しのゴミみたいな記事なので、今更それに対してでんでん……じゃなかった、云々しようとは思わないのですが、写真に付いているキャプション

【バッハの『アヴェ・マリア』を演奏中の岸田一郎氏】

 って一体何だよそれ?!

知っての通りバッハの少なくともよく知られている曲には「アヴェ・マリア」というものはないし、ありうるとしたら平均律クラヴィーア曲集第1巻第1曲の前奏曲にメロディーを乗っけたシャルル・グノー(1818-1893)の「アヴェ・マリア」だろう。しかも、いずれの曲にも左右の手をクロスして演奏する指示はない。とするとこの写真で岸田一郎氏が取っているポーズはデタラメか、あるいは他の曲の演奏風景と取り違えているか、さもなくばマルク-アンドレ・アムランがかつてショパンの曲で披露したように右手と左手をわざと入れ替えて超絶技巧を披露しているかのどれかになる。

そして、問題は岸田一郎氏がこんな意味のない写真を赤恥全開で掲載する妖怪……じゃなかった、溶解した自意識の醜悪さにあるのではない。このキャプションが明らかに間違いであることについて修正を入れなかった小学館校閲部門の水準である。この原稿の初出は紙雑誌の「週刊ポスト」であり、Web媒体にありがちな編集部門不在のザル原稿ではないのだ。紙媒体であれば余程のひどい実話系雑誌であっても一応外部校閲は入るし、ネトウヨ小児右翼様御用達のクオリティ雑誌「SAPIO」の版元であらせられる小学館なら尚更である。勿論実際の記事の大半は下請けの編プロが実務を回してるんだろうが、それも含めてこの手の最低限の事実レベルの品質管理が出来ていない同社の査読体制はどうなっているのか、正直心配になるのですね。