2016年フランス旅行(1): いきさつと出発
先週末、フランスへの約十日間の旅行から帰国した。後ほど述べるが帰路は非常に疲れるもので、疲れが抜けたのは今週頭になってからだった。このことに、まず、年齢を感じる。
さて、フランスへの旅行を計画していたのには、理由がある。今から約三十年前、小生が初めての海外としてホームステイをした南仏のホストファミリーの旦那さんが今年の一月にこの世を去ったことは こちらで読めるのでそちらを参照して頂くとして、やはりできる限り早い時期には墓前に挨拶をせねばなという思いは常に頭の片隅にあった。だが、忙しすぎる日常はそれを許さず、それに重なる体調の悪化と周辺環境の崩壊は、私自身の精神的状況をかなり厳しくするものでもあった。
だが幸いと言うべきか、今年のお盆明けにとある転職エージェントから引き抜きの話を頂いた。ヘッドハンティングに相当するような立場の人間ではないので、あえて言えば「テールハンティング」なのだが、それでも提示された条件は現職よりもかなりよいもので、一も二もなく首を縦に振り、数度の面接やプレゼンなどを経て、九月の頭には全てが決まり、内定通知書の確定翌日には現勤務先への早速退職の宣言とその日の午後からの有休消化と相成った。引き継ぎ?組織が崩壊しているのにそんなの知るかという具合です。
そしてマイレージカードの蓄積マイルとクレジットカードの蓄積ポイントを確認したところ、ギリギリではあるが欧州線ビジネスクラスが確保できることがわかり、速攻で空き状況を確認して切符をおさえた。
※特典国際航空券はものすごい前か、ギリギリ直前に検索すると平会員でも比較的取りやすい。
今回は上記のような経緯もあるので、純然たる観光というより、思い出の地を回ることで「失われた時」を少しずつ取り戻し、自らの内的時間の記憶の回復を図ることで、実存的な充足をも回復したいという狙いが主である。もっとダサく言ってしまえばある種の「センチメンタルジャーニー」かもしれない。
【Ⅰ日目】
かなりの睡眠不足の体+朝食抜きという状態で空港に到着。ラウンジで早速タダメシにありつこうとするが、ソロシートがあらかた埋まっている混雑状況に驚愕。思えばこの日はシルバーウィークにちょうどぶつかるため、個人旅行客も沢山いるわけだ。元々がANAのビジネスクラスラウンジは成田も羽田も結構混んでいるのが常態化しつつあるので、もう1カ所くらいどこかに増設して欲しいなあと思います。ちなみに成田のANAラウンジは最奥部にマッサージチェアエリアがあって、そこだけは結構静かなのでおすすめです。
搭乗時刻がやってきたので席に座る。比較的評判のいいスタッガード配列のビジネスクラスシートだが、B787-9からは一部仕様変更が見られ、サイドテーブルが木目調になっていたり、コップ置きや、眼鏡入れに便利だった物入れが廃止されていたりする。個人的にはB777-300ERで採用されている仕様の方が色々と好きです。タダ券なんであんまえらそうなことは言えませんが……
ウェルカムドリンクのスパークリングワイン。以前はステムつきのプラカップでしたが、安全性確保と言うことで普通のプラカップになりました。まー、飲んでしまえば同じですんでそれほど気にならないのですが、だったら食事の時に使っているグラスのほうがいいのではというのはわがままですね。
※ファーストクラスではちゃんとしたシャンパンフルートでウェルカムドリンクが供されます。中味もシャンパーニュです。ブラインドテストしたらどうせ分かりませんけど。
最近では一部の外国航空会社でも取り入れられているが、一人一人のお客にCAが挨拶に来るのも日系航空会社ならでは。「マイル引き替えのタダ券ですけどね」と気まずい返事をするのまでがお約束です。ごめんなさい。
そして飛行機は定刻通りトーイングを開始し、タクシングのルートに着く。
十数分後、機体は離陸。パリまでの11時間ほどの空の旅が始まる。