sadaijin_nanigashiの日記

虚無からの投壜通信

日々のあれやこれやをいろいろと。

増え続ける原作依存

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というわけでWikipediaのリストに従って、アニメ・漫画の実写ドラマ・映画化の本数をまとめてみた。一目瞭然、増加傾向にあるのが分かるだろう。なお、1990年を1年目として合計本数の線形回帰分析を行ってみたところ、回帰式は以下の通りとなった。

y=1.5255x+11.022, R^2=0.7506

R^2が0.7506と極めて高い値を示すことからも、このことは分かると思う。

何でこんなことになったのか。言うまでもなく、その要因の一つは、アニメや漫画のストーリーの質が高まってきたことにあろう。小生が子供の頃の特に男子向けアニメや漫画と言えばひたすら殴り合いと友情を確かめ合うだけの頭の悪い脳味噌筋肉作品か、ロボットが延々と戦争するだけのものが大半だった。「機動戦士ガンダム」がその流れを変えるに果たした役割は凄まじく大きなものがあるし、「ウルトラマン」などの特撮物には非常に社会的な思想が見え隠れする作品は少なくないが、全体としてはまあそんなものだったのだ。

それがガラリと変わったのにはやはり萩尾望都大島弓子吉田秋生といった天才的なストーリーテリング力を持つ作家の登場に言及しないわけには行くまい。また、それに引きずられる形で、青年誌と呼ばれるカテゴリーでは数多くの骨太な作品が特に90年代から数多くあらわれたことも認める必要があろう。

だが、それを以てしても、2000年頃からのアニメ・漫画の実写化数の急激な伸びの理由の全てを説明することはできないだろう。そこには別の理由も働いていると考えるべきだ。

まず第1に挙げられるのは無論マーケティング的な理由だろう。既に原作が商業的成功を収めている場合、一定の割合のファン層を最初の段階から見込めるこれらの作品の実写化は、ROIを厳しく測定される最近の制作側・広告代理店にとっては有り難い素材である。実際小生も「ショムニ」の実写版はコミックのおもしろさに誘導されての側面があったことは事実だ(後半は独自路線のクソさ加減に呆れて見捨てたが)。だが、昨今「原作レイプ」との表現が人口に膾炙したことからも分かるとおり、この安直なマーケティングは原作を高く評価してくれた真のファン層、インフルエンサーからの強い反発を招き、長期的には全てのステイクホルダーに甚大な被害を与える。剛力彩芽を起用した『ビブリア古書堂の事件手帖』のドラマ版が手厳しい批判に見舞われていわば「炎上」したことは記憶に新しい。このゴタゴタのせいで、剛力を起用したCMは軒並み出稿元のブランドを毀損したという話もある(CM DATABANKが出しているCM評価調査のまとめでは、剛力彩芽がメインキャラクターとして起用されたCMは記憶定着率は高いものの、ブランド力は概ね下がっている)。

ここまで手ひどい損害を被りながら、いまだに実写化が続くのには従って別の理由も考える必要がある。さすがに各大手事務所や広告代理店の馬鹿丸出しの甘言に乗り続けてホイホイと安くないお金を出し続けられるほどテレビ局とて左うちわではないからだ。そして、その深層としてまず考えるべきは、人材の払底・枯渇という、全ての産業においてその基礎体力を削ってゆく、あの問題であろう。

つづく

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