sadaijin_nanigashiの日記

虚無からの投壜通信

日々のあれやこれやをいろいろと。

勘違いするなや

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移動中にいきなり、後ろのほうからスーツの男性が現れ、何やら声をかけてきたと思ったら、サッと筆者のスーツケースを階段上まで運んでくれたのです。

危ねえよ!

手伝うにしても、普通は「重たそうだから運びましょうか?」と一声かけるものだろう。 

このライターはそれをレディファーストだの何だのと嬉しそうに書いているが、周知の通りパリの地下鉄の治安は我々の想像以上にムチャクチャ悪い。私もスリの現場を目撃して「泥棒だぞアイツ!」とか叫んだことが数度あるほどだ(特に観光路線の1号線にはスリがウジャウジャいる)。無論各種ガイドブックにも、パリでスーツケースを引きずりながら地下鉄を移動するのは泥棒に「盗んで下さい」と言っているようなものだから、空港からの移動ではRER B線はもちろん避けてロワシーバスなどを利用し、そこから先はタクシーを利用した方が(ボッタクリに遭ったとしても)安全であるとしっかり書いてある。パリ市内であれば空港シャトルバスの停留所や国鉄駅からのタクシー料金はせいぜいが20ユーロ程度だし、空港からタクシー乗ってもチップ込みで50~60ユーロ程度なので、2人以上で行く場合には絶対にタクシーを利用した方が結果として安く上がる。

そんなわけだから、正直この記事は、あまりにも脳天気であるとしか思えないし、パリでスーツケースを引きずって移動することのリスクを説明していないという点で有害ですらある。そして東京の場合、ハートビル法によってほとんどの駅にはエスカレーターやエレベーターが整備されているため、例えスーツケースを抱えていたとしてもパリほどの苦労をすることは余りない。無論大変そうなら助けてくれる人は若い人に特に多い。子供連れ+スーツケースであれば駅員が助けてくれている光景も何回も見てきた。

むしろ日本の人々に真似して欲しいのは、ベビーカーの上げ下ろしの手伝いであると私は思う。パリ市内の交通は特に地下鉄などは大変不便で、ベビーカーの上げ下ろしについては第三者の助けが必要となる場面が少なくない。パリ(とか欧州の大都市)ではこのような場面に遭遇すると回りの人たちが一斉に助けてみんなで階段を担いで上がったり、バスのステップの移動を助けたりする。ところが日本じゃいずれも知らんぷりの場面が多いように思う。わたしゃそういう経験もあるので積極的に手伝うようにしているが、ほとんどの場合ベビーカーを押している女性からはかなり驚いた反応される。キモオタ風情だというのもあるかもしれないけどね、感謝されるのはただしイケメンに限るから。でも、ラッシュ時にベビーカーに子供を乗せて電車に乗るのは是か非かみたいな程度の低い議論をしているヒマがあったら、子供を育てている人を社会ぐるみで助けようという心遣いの一つや二つをそれぞれの個人個人が実践しても罰は当たらないんじゃないのかな。