認識とは行うものではなく獲得されるものだ

多くの情報がオープンデータも含めクリック一つで手に入る今日では、情報を獲得する営為の価値は限りなく低く見られがちである。だが、それこそまさしく我々自身の怠惰がもたらした想像力の欠如と言う他はない。我々が安楽椅子で自分に都合のよい世界観の夢に微睡んでいる一方で、世界の悲鳴を聞き、悲惨に目を見開いてそれを全身で伝えようとする人々が存在することを忘れてはならないし、そうしてもたらされる言葉の数々は全ての弁明を超えて我々の意識の蒙昧を力づくで覚ましてくれる。にもかかわらず、そういった人々の意志や行動を実に主観的な抽象的観念で冷笑する、あるいは概念化して事態の把握と自己肯定するのは、認識とは何かと苦闘したことがないか、あるいは認識そのものに到ったことのない愚者の行いに他ならない。